大正大学浄土学研究会は、大正大学浄土学研究室を母胎としてその卒業生を中心に組織された学術団体であり、昭和五年創刊の会誌『淨土學』は、多彩な先生方による高度な学問性に満ちた論考を数多く掲載した、わが国仏教学界屈指の学術雑誌でありました。しかし学園紛争や学部改組、大学における教育研究環境の激変などの影響で、近年、遺憾ながらその活動は停滞気味とならざるを得ませんでした。
少子化が進む現在、大学経営は極めて厳しい状況に置かれています。大正大学に於いても例外ではなく、かつての宗門子弟養成および宗学研鑽の場という性格は徐々に薄まりつつあります。しかし大正大学浄土学の存在意義とは、何よりも宗門子弟に対して充実した教育を提供し、次代を担う人材を育成することであり、またそれによって法然上人の教えを広く社会に伝えていくことに他なりません。
現今のような状況下にあってこうした理念を実現していくためには、大学に於ける教育研究のあり方を根本から見つめ直し、明確な未来像と確固たる信念を抱いて行動することが必要と思われます。学術領域に関して言えば、浄土宗学を中心に据えつつも、従来のアカデミズムの枠を超えたより広い視座に立った学術研究活動の活性化ならびに、それを通じた優秀な人材の育成が要請されているのではないでしょうか。
そこで大正大学浄土学研究会は、望月信亨博士以来の宗学研鑽の伝統を継承しつつ、関連諸領域との連携を強め人材交流を活発化することを目指し、全国に対して門戸を広げた学術組織「浄土学研究会」として再出発を図ることと致しました。
この「浄土学研究会」発足によって、活発な学術研究活動を展開する場を提供できると共に、そうした研鑽によって得られた叡智を共有することが可能となるでしょう。また若手の研究者とその成果を全国に紹介することもでき、彼らが社会に飛躍する契機ともなるでしょう。これらが実現すれば、宗門、大学、学界の将来に必ずや有益な結果を齎らすものと確信しております。
各位には右に申し述べました現状と経緯をご賢察の上、「浄土学研究会」の発足と発展にご協力賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
合掌
平成十七年六月吉日
発 起 人 廣川 堯敏 金子 寛哉 林田 康順
赤平 和順 石川 到覚 宇髙 良哲
大南 龍昇 小此木輝之 小澤 憲珠
勝崎 裕彦 西村 実則 榊 泰純
落合 崇志 小嶋 知善 春本 秀雄
鷲見 定信 吉水 成正 丸山 博正
小林 尚英 粂原 勇慈 粂原 恒久
曽根 宣雄 柴田 泰山 吉田 淳雄